「優秀」でなくても何とかなると思う
マニュアルワークの価値が暴落した
この記事を読みました。
趣旨には理解するところもあるのですが、「うーん」と思うところがあるので書いてみます。
「それなりの富」の基準が高すぎる
最初に思った違和感は、「それなりの富を築くことのできる人材」の基準の高さです。
「日本企業は待遇面でGAFAなどの外資に負けている」「安い給料で、スペック高い人を求めすぎている」なんて批判もあるが、 実際には、エンジニア。年収1500万から。修士卒、画像解析の専門家 みたいな募集が、続々と出てきている。
ただ、数が少ないので、目立たないだけだ。
そこで採用されたような人は、本当に優秀であるから、どの会社でも引っ張りだこで、働く場所も時間も自由、副業もラクラクとこなして、SNSで発信する。 そして、20代、30代のうちに、数千万、数億といった、それなりの規模の富を手にする。 それが現在の「それなりの富を築くことのできる人材」だ。
どの会社も「人材不足」なんてとんでもない。そもそもリストラしているのだ。 足りていないのは、以前の記事にもあったように、「金を積んでも来てほしい、優秀な人」なのである。
「金を積んでも来てほしい、優秀な人」と「マニュアルがないと仕事できない人」というのはちょっとくくりとして不適切だと思います。 IT関連は特に人手不足なので、「自ら学習できて成長できる人」なら十分戦力になり、 引っ張りだことまでは言わなくても職に困ることはないと思います。
そして、数億とまでは言わなくても家庭を持って子を2人育てられる、 それくらいは難しくないのではと。自分のことですけど。
まあ5年後、10年後どうなってるかは分からないですけど、 今のところ見えている未来ではこんな感じです。
別の言い方をすると、「知識労働」をしていれば、それほど困らないと思っています。 一番わかりやすいのが「士業」ですね。 逆にIT系でも「Excelで管理しているだけ」の人は厳しいです。
「場所選び」ならそれほど難しくない
引用の記事にも1つ気になる点があります。
例えば今の時代は、人工知能や統計解析の専門家は稼げても、刀鍛冶や畳職人はそれほど稼げません。 要するに、専門家でありさえすればよいのではなく、「マーケットがある上での専門家」である必要があります。
なので、リンク先の文章を額面どおりに受け取るなら、現代社会において「稼げる」のは、アタマが良くて商売センスにも恵まれている人、ということになる。 だが果たして、世の中にそのような人がいったいどれぐらい存在するだろうか。
これに関しては「転職の思考法」という本にわかりやすいことが書かれています。 (Kindle版No.351あたり)
「次は三つ目の話、『業界の生産性』だ」
(中略)
「言い換えれば、その業界にいる人間が、平均一人当たりどれほどの価値を生み出しているか。 よく使われる言葉でいうと、一人当たりの粗利に該当する。 そして、給与の期待値、つまり、マーケットバリューというのは、 『業界の生産性』に最も大きく影響を受ける。
(中略)
言い換えれば、いくら技術資産や人的資産が高くても、 そもそもの産業を間違ったら、マーケットバリューは絶対高くならない。 なにせ、最大20倍も違いがあるからな。個人の資質や努力で覆すのは非常に難しい」
マーケットと言われると分かりにくいですが、 その業界が伸びているか、成熟しているか、衰退しているかはそんなに難しくないです。 分かりやすく言えば人が足りているか、人が不足しているかですから。 衰退している産業で稼ごうとすると難しいですが、場所選びならそれほど難しくないかなと。
ただ、場所選びを間違った、 あるいは最初は間違ってなくても、衰退していくことも十分あります。なので次。
「継続学習」が重要
「マニュアルがないと仕事できない人」はある程度いるので、 その人たちが働くための場所は必要です。 社会の安定のために、変革の減速はあってもいいでしょう。 ただ日本はいままで減速しすぎて問題になってるので、まだ先のことだと思いますが。
ただ、それはあくまでセーフティネットとしての役割であって、 一番重要なのは「学び直し」によって、「知識労働」をする人を増やすことです。 あるいは業界が衰退しているときに、「学び直し」によって、 伸びている業界へ転職する人を増やすことです。
具体的には以下のようなイメージです。
- スキル不足で辛くなってきた技術者は、一旦会社を辞めてもらう。
- 学校などで学び直す。その間の生活費などは公費で賄えるように。
- 学んだあと、以前よりよい条件で再就職する。
公務員ばかりだとただでさえうんざりする手続きが さらにうんざりしそうでイヤなんですよね。 NPOはいいと思いますが。
まとめ
言いたかったことを書くとこんな感じです。
- 場所を間違えなければ「そこそこ」でも大丈夫
- ただしいつでも乗り換えられるように「継続学習」は重要
- 公務員ばかりの社会はイヤ
正直5年後、10年後どうなってるかはわからないです。 ただほぼ確実なのは「継続学習」をして「知識労働」をしているのが、一番リスクに強いと思います。
あと書きたいけどかけなかったこととして、
- 「優秀な人」に頼りすぎ。それよりも「組織力」が重要。
があります。
参考文献
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