ウェイト版タロットの著作権が日本で切れていた件
(追記)Wikipediaでこの話題が取り上げられ、 日本語版のタロットカードの記述が更新されました。ありがとうございました。
ライダー版とも呼ばれる、 もっともなじみ深いウェイト版タロットの著作権が切れていることが分かりました。 このような絵柄です。
この経緯について書きます。 ふと気になってタロットカードの著作権について気になって調べてみたところ、 ライダー・ウェイト版の著作権に関する猫的考察というページを見つけました。 この情報を確認したところ、全体的には正しいようですが、 計算に一部間違いがあって、どうやら日本での著作権は既に切れているようです。
まず、著作権の保護期間ですが、 日本ではWikipediaの著作権の保護期間に書いてあるように、 基本的に著作者の死後50年、あるいは団体発行の場合、公表後50年です。 これは外国の著作物の場合も同様です。 ただし、一部の国の著作物には戦時加算というものがあって、 ウェイト版タロットカードの場合、著作者および発売元がイギリスなので、 3794日が加算されます。
また、注意すべきなのが保護期間の計算方法で、 これは以下のように、発表または死亡の翌年の1月1日から数えます1。
著作物の保護期間は、著作者の死亡および上記の事実(公衆への提供、製作)が発生した時から始まる。ただし、これらの事実が発生した年の翌年の1月1日から計算する(7条(5))。
関係者は3者あり、以下のようになっています。
- アーサー・エドワード・ウェイト:1942年没
- パメラ・コールマン・スミス:1951年没
- ライダー社からの発売:1910年
まず、ライダー社の分は公表後50年なので、 戦時加算を含めても明らかに切れています。 問題は2人の著作者ですが、パメラ・コールマン・スミス女史が1951年没なので、 1952年1月1日から50年と3794日を足すと、なんと2012年5月22日になりました。 つい先日2切れてたというわけです。
このカードのデザインですが、Wikipediaで入手出来ます。 例えばFoolのカードのように。 ただし、イギリスでは著作権保護期間は死後70年のため、 国によってはまだ著作権が切れていないようです。 そのため、Wikimedia Commonsには置いてはいけないという注意書きがあります。
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この記事を書いたのが2012年7月12日なので、2ヶ月足らず。 ↩︎
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