2015年9月8日火曜日

トーキョーを支える「上場ゴール」

投資関連のスラングに「上場ゴール」という言葉があります。これは、上場して売却益を得ることを目的としているベンチャー企業を指しています。上場後の株価がピークで、株価はその後下がりっぱなしです。もちろん、そのような企業に投資した個人投資家は大損です。

自分の中では、この「上場ゴール」は、トーキョーを象徴する言葉だと思っています(「トーキョー」については3つの「東京」参照)。

1. 中身のない自称ITベンチャー

以前「地方の一出版社にネット企業が惨敗した件」でも書きましたが、日本の自称ITベンチャー企業は流行りものに飛びつくのだけは早いですが、中身がスカスカです。上場に必要なのは、数十年続くビジネスです。もしそれが100年続くビジネス、いつかは利益が出るビジネスなら、株価が下がってもいつかは持ち直します。

しかし、自称ITベンチャーは数十年どころか、数年経てば忘れられるようなことばかりやっています。そんな企業が上場しようなんて思い上がりもいいところです。

2. 見る目のない「金持ち」と「メディア」

さらに情けないことに、「金持ち」が全く見る目がありません。ここでいう「金持ち」は、個人で一山当てたIT長者はもちろん、大企業でも大きなお金を動かせる地位の人を指しています。

この人たちが投資対象としている企業や人を見ると、ロクでもないものばかりです。「凄そう」とか「面白そう」とか「新しい」という理由だけで投資して、予想通りロクな結果をもたらしていません。

大企業の社長ならともかく、IT長者が見る目がない理由は明らかです。彼らは「まぐれ」で成功したからです。たまたまインターネットという未開の土地を見つけるのが早かった、動くのが早かった、それだけです。

昔の起業家ならまぐれで成功してもそれを本当の力にしていくだけの謙虚さを持っていますが、IT長者にはそのような頭はありません。まぐれの成功が本物だと勘違いしてるので、自分と同じような人たち、すなわち行動が早いだけで何も考えてない人たちに投資します。

もちろん、メディアも見る目がありません。こちらは今更言うまでもないので略。

3. 彼らをつなぐ「コネ社会」

IT産業はどこででも起業できるのにもかかわらず、なぜか他の産業より東京に集中しています。その理由は、IT産業が「コネ」でできている産業だからです。「コネ=悪」ではありませんが、中身がない自称ITベンチャーがそのために持ち上げられるのなら、それは「コネ」ではなく「癒着」です。

せいぜい一企業を上場させた程度の人がネットで偉そうな態度が取れるのが謎だったのですが、彼らが「コネ」を持ってるからだと考えると納得できます。自称ベンチャー企業にとって何よりも欲しいのが「金」と「知名度」であり、そのために必要なのは、金を持ってる人やメディアとのコネです。

メディアとしても、地方で1人インタビューする暇があったら、東京で10人インタビューして載せたほうが「お手軽」なため、必然的にコネを持っている一部の人に露出が集中します。その意味では、全国に拠点を持っているマスメディアの方がまだマシです。

癒着といえば世間一般には「政・官・財」ですが、現代の癒着の代表は、「IT・金融・メディア」の3つです。

他と違うのは「ただレベルが低いだけ」

ただ、この構造自体が問題ではありません。金がないベンチャー企業を先に成功した人が支え、メディアが世の中に広めるという構図はごく普通です。ただ違うのは、彼らはものすごくレベルが低いというだけです。

もちろんレベルが低い人たちが集まっても、いつかは破綻します。だから、常に金をどこかで集め続ける必要があります。そのための手段が「上場ゴール」です。逆に言えば、こういう詐欺同然の手段を取らないといけないほど、トーキョー人は稼ぐ力がないことの表れです。

勘違いしてはいけないのは、これは決して「日本の縮図」ではありません。メディアにチヤホヤされ、IT長者にお墨付きされるような一部の自称ベンチャーが異常なだけで、ほとんど注目されない、地味な企業こそが世の中を支えていくと思います。