2015年5月3日日曜日

IBMはもうダメかもしれない

すっかり情報に疎くなったので全然知らなかったのですが、IBMが12四半期連続減収だそうです。実はこれびっくりすることでした。なぜなら、自分のブログで一番アクセスがある記事、顧客も社員も大切にしなかった企業の末路で批判していたのはあくまで「日本IBM」で、「IBMは違う」とずっと思っていたからです。

しかしどうやら、「日本IBMがとてつもなく酷すぎるだけで、IBMもとても酷い」が実情のようです。なぜ気づかなかったのかというと、日本にいるとアメリカなど外国の社員と話すこともないのと、社内Webなどで見える状況が、日本とは別物だったからです。

日本IBMを辞めてもニュースなどでIBMを知る機会はあり、どうも最近「実はIBMもダメなんじゃないの」という感じはあったのですが、たまたま今日書店で「倒れゆく巨象」という本を見つけました。ざっと立ち読みしたのですが、どうやら日本IBMだけの問題じゃないようです。

1990年代の経営危機のときに真っ先に立ち直ったのが日本IBMでもあり、「日本IBMが特別悪い」というよりは、「日本IBMはIBMの先を行っている」と考えた方がよかったかもしれません。まあさすがに元社長が盗撮で書類送検みたいなことはないと思いますが( ・ิω・ิ)

ただ、ざっとなので勘違いがあるかもしれませんが、二つほど、これだけは違和感があったところを書きます。

一つ目は、「誰が悪いのか」という点です。自分は、「2年も経ったら前経営陣のことは忘れるべき」だと思っています。それまでに役員をしていたかどうかという問題もありますが、経営者が変わった途端に問題が起きても、その経営責任は前経営陣に向けられるべきです。そして、少しずつ新経営陣のカラーに染まっていって、それが終わるのがだいたい2年後だと思っています。

なので、前CEOのパルミサーノ氏を批判するならまだしも、ガースナー氏を批判してもしょうがありません。後継者指名問題を言われてもはっきり言って「知らんがな(´・ω・`)」というレベルです。後付けにすぎません。

もう一つ、こちらが重要なのですが、「IBMは立て直せるか」という点です。自分が記事に書いた通り、「人や生産性に投資する」というのは最低限必要です。ただ、それだけでは解決できない大きな問題を抱えています。

問題はIBMの"ビジョン"である、Smarter Planetにあります。これを知ったときに、直感的に「ヤバい」と思いました。なぜなら、これは「みんなの意見」であって、「IBMの意見」ではなく、やってることも「たくさんのデータを適当にこね回したらちょっと改善した」ということを延々と語っているだけです。

これは「0から1」でもなく、「1から100」ですらありません。せいぜい「1が1.1」くらいの改善です。相手が物理法則であるエンジンですら、30%の効率アップを目標に掲げている人たちがいます。ビジネスでは、10%程度の改善ではほとんど意味がなく、他社が追いつけないほど、何倍も変わるような「発想の転換」が求められます。その人たちにとってIBMは全く役に立ちません。

分野によっては10%の改善でも大きな成果となることもあります。しかしその次に問題になるのは、「それはIBMにしかできないことか」です。自分が日本IBMに入社した13年前なら"Yes"です。一つ一つは珍しいものではなくても、メインフレームからPC、CPU開発、OSやミドルウェア、サービスまで揃っていた企業はほとんどなく、その中でもIBMは際立った存在だったと思います(たぶん)。

しかし今では、いわゆるクラウドならGoogle、Amazon、Microsoft、その他ベンチャー企業などがあり、IBMは「大企業のプライベートクラウド」という狭い領域以外では存在感がありません。その分野でも以前からの競合相手のHPだけでなく、最近はOracleとも競合しています。

日本市場をとっても、IBMは昔からSMB(中小企業)向けが弱いと言われてましたが、昔ならともかく、悪い意味で外資化した今の日本IBMよりは、NECや富士通といった国内企業の方が頼りになります。

メインフレームは当時も今でも際立った存在ではありますが、もはや会社を引っ張るほど大きな存在にはなり得ません。すなわち、今のIBMは「何の会社かわからない」状態です。

「社内がボロボロ」「何の会社かわからない」「先のないビジョン」、いつの間にか、IBMはそのような会社になってしまいました。そして、現経営陣は経営不振に対して、さらなる改革を推し進めようとしています。これは、既に逆走している状況に対して、逆走したまま加速するようなものです。あるいは、このままだと崖から落ちそうな状況で、さらに加速するようなものです。

なので、自分は「こりゃあかん」としか言いようがないです。