2015年7月14日火曜日

人に優しいプログラマー

自分は摂取する情報を限りなく制限する生活をしているのですが、唯一の例外が訃報です。そのため、この悲しい情報もすぐ知りました。任天堂の岩田社長が亡くなりました。

1年前に株主総会を欠席した時に、胆管腫瘍という病気についても調べて、統計的には予後がよくないという話も目にしていました。ただ、それから復帰した時の岩田社長は、痩せたというよりは、老けたなぁという印象でした。今でもどうしても忘れられない、iCloud発表時のSteve Jobsと比べたらまだまだ見た目も丈夫そうに見えたんですね。それが突然の訃報。今はただ、ご冥福をお祈りするばかりです。

岩田社長と言えば、プログラマーとしても、経営者としても逸話に事欠かない人物ですが、個人的に一番好きなエピソードは、MOTHER2の話です。


MOTHER2のエピソードでは、「これを、いまある形のままで、直していくなら、2年かかります。でも、イチからつくっていいなら1年以内にやります。どちらにしますか?」という言葉が有名です。ですが、自分がこの言葉よりもすごいと思うのは次の行動です。
で、そのときに岩田さんが
なにからはじめたかというと、
まず、道具をつくりはじめたんですよね。
つまり、目の前に大きな問題がごろごろあって、
すごくたいへんだぞ、というときに、
直接は、それに取りかからなかった。
だから、離れたところから見ると、
ぜんぜん手をつけてないように見えたんです。
ところが、それは、問題を片づけていくための
道具をつくっていたんだよね。
自分はプログラマーをやっていますが、ずっと、プログラマーである自分に疑問を持っていました。「自分を活かせる仕事=プログラミング」なのは間違いないですが、どこかハマれない自分がいました。すごいプログラマーの話もいろいろ知りましたが、自分がなりたいと思える人は片手で数えるほどで、自分勝手で、絶対なりたくないタイプの人ばかりでした。

だから、いろんなOSSプロジェクトに浮気したり、自分で何か書いてみても止めちゃったり、逆に今は食っていければいいやと割り切ってリアルを充実させたりしてました(それはそれで良かったのですが)。

しかし、このMOTHER2のエピソードを見て、目から鱗が落ちました。道具を作ることで、その人の生産性を上げること、もっと柔らかい言い方をすると、普通の人をすごい人に変えることができます。いくらすごいプログラマーでも1人では限度がありますが、他の人をすごい人に変えることで、1人ではできない大きいことが可能になります。

そもそも、自分がコンピュータにハマるきっかけは、NeXTのInterface Builder(Xcodeの原型)を知ったことでした。複雑なコードを書かなくても簡単にアプリケーションが作れる環境が魅力的でした。その後知ったPerlやRubyも、どちらも普通の人に優しい言語でした。

しかし、スキルが上がるにつれて、いつの間にかその原点を忘れていました。その原点を思い出させてくれたのが、このエピソードです。だから自分は、すごいプログラマとしての話よりも、人に優しいプログラマーとしての、この話が一番好きです。

笑顔が似合う、人を笑顔にする、そのような人に、自分もなりたい。