2012年5月11日金曜日

ストリンガーがソニーに行った「虐待」

気まぐれに書店に行って、前々から気になってたこの本を買いました。

さよなら!僕らのソニー (文春新書)
立石 泰則
文藝春秋
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今ではすっかりソニー嫌いとなった自分ですが、PlayStationとPlayStation2の頃はソニーファンでした。

それまではスーパーファミコンで遊ぶ一般人でしたが、Nintendo 64の「少数精鋭」と「高価なマスクROMを採用」という方針に不満があり、一方でPlayStationの「全てのゲームは、ここに集まる。」というキャッチコピーと、CD-ROM採用でコストを抑えたところに共感し、PlayStation派に転向しました。

以下の本はかなり昔の本ですが、PlayStation開発当時の状況がワクワクさせる形で書かれています。

ソニーの革命児たち―「プレイステーション」世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動
麻倉 怜士
IDGコミュニケーションズ
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ゲーム以外の分野ではCDウォークマンを買った程度で、特にソニーだから良い、悪いというイメージはありませんでしたが、rootkitやネットでの工作などのソニーの悪辣な行為が明らかになるにつれ、ソニーには悪いイメージを持つようになりました。

しかし、PlayStationでワクワクさせた頃のソニーを知っている自分としては、今のソニーがなぜここまでおかしくなってしまったは興味があります。また、Appleと比較されることも多いのも一つの理由です。

最初は井深氏のエピソードがジョブズっぽいなぁと感じ、Appleと比較してレビューを書く予定でしたが、読み進めていくうちに悲しみと怒りが沸いてきました。ソニーがここまで酷いとは思いませんでした。ストリンガーは人類史上最悪の経営者と言っても過言ではありません。政治家で例えるなら菅直人レベルです。

p246より、
エレクトロニクス企業と思って入った会社が、エンタテインメントの会社になるー程度の差こそあれ、他の会社では出来ないことがソニーでは出来るのではと信じて入社したエンジニアにとって、これほどショックなことはない。独自技術にこだわるな、誰にでも作れる標準的な製品がソニーに求められている製品だと説明されたら、それまで培ってきたエンジニアとしてのキャリアは否定されたも同然である。
ストリンガーが技術者に伝えたのは、技術力はいらないというメッセージです。これは技術者にとっては、「自己否定」そのものです。自分たちがやっていることが大事だと考えて、それでも力及ばず失敗したのならまだ納得できます。しかし、自分たちが不要と言われてどうやったら力を発揮できるのでしょうか。人間で言うなら「いじめ」「虐待」と言うべきレベルです。

自分が日本IBMに入ったときも似たような経験がありました。数ヶ月に一度大和ソフトウェア開発研究所(YSL)で全体ミーティングがあって所長が話をするのですが、明らかに自分の部門が冷遇されているのが分かりました。ちなみにその時の所長の内永ゆか子はソニーの社外取締役をやっています。無能同士気が合ったんでしょうね

このようにガタガタになってしまったソニーが復活する見込みはあるのでしょうか。ゲーム以外に特筆すべき分野がなくなってしまったという問題もありますが、もっと単純に、ストリンガーに指名されたという事実だけで平井氏には無理だと判断出来ます。もし平井氏がストリンガーおよびその傀儡を全員排除出来れば少なくとも社内の士気は上がると思いますが。